クリスマスイブ、牛丼屋にて。
「うー、つめてー」
「でしょうね!」
なんなんだよ、もう。
こんな寒空の下冷えたプリンを食べるなんて奇行以外のなんにでもない。
彼の行動に呆れを隠さないわたしに、穂高はなおも「ほら、相沢も食えよ」なんて言ってくる。
考えなしなのか、マイペースなのか。
多分、どっちもだな。
「……ほんと、バッカじゃないの!」
こうなったら、もうやけだ。
諦めたわたしは穂高の隣に勢いよく座り、プリンとプラスチックスプーンを開封。
寒さのせいか固く揺れるプリンをひとすくいして口に運んだ。
「つめった!
てか冷たすぎて味が全然しない!」
「だな」
柔らかな甘さを想像して口に入れたはずなのに、舌に伝わるのはその冷たさと、ぷるんとした特有の食感だけ。
冷たい固形物を舌の上で転がすのも耐えられなくて、わたしはすぐさまそれを飲み込む。
だめだこれ。
味わって食べるとか、そんな余裕ないわ。
それは穂高も痛感したらしく。
2人してプリンをかき込むように頬張り、ものの数十秒で完食してしまった。