クリスマスイブ、牛丼屋にて。
「もう!せっかくもらったから、家でゆっくり食べようと思ってたのに。
穂高はマイペースにも程がある!」
「だって、今食べたくなったんだよ」
いや、知らないよ。
なんだよ、その幼稚な言い訳!
かじかむ指に、冷たさで痺れるような口の中。
全然味のしないプリン。
普通クリスマスイブって、暖かい部屋で甘くておいしいケーキを食べるものでしょ。
呆れなんて通り越し、もはや馬鹿らしくなってきてなんだか笑えてくる。
「ふっ、ふふっ。あはははっ!
……あーあ、こんなイブの日に、わたしたち何やってんだろうね」
「こういうクリスマスも、俺はいいと思うけどね」
「おまえがそれを言うか!」
少しも悪びれない穂高がむしろドヤ顔でこちらを見てきたので、となりの体に軽く体当たりする。
だけど、たしかにこういうのも悪くない、と思ってしまう自分がいて。
それが余計にむかついた。