クリスマスイブ、牛丼屋にて。



「もう!せっかくもらったから、家でゆっくり食べようと思ってたのに。

穂高はマイペースにも程がある!」

「だって、今食べたくなったんだよ」


いや、知らないよ。
なんだよ、その幼稚な言い訳!


かじかむ指に、冷たさで痺れるような口の中。

全然味のしないプリン。



普通クリスマスイブって、暖かい部屋で甘くておいしいケーキを食べるものでしょ。



呆れなんて通り越し、もはや馬鹿らしくなってきてなんだか笑えてくる。



「ふっ、ふふっ。あはははっ!


……あーあ、こんなイブの日に、わたしたち何やってんだろうね」

「こういうクリスマスも、俺はいいと思うけどね」

「おまえがそれを言うか!」



少しも悪びれない穂高がむしろドヤ顔でこちらを見てきたので、となりの体に軽く体当たりする。




だけど、たしかにこういうのも悪くない、と思ってしまう自分がいて。


それが余計にむかついた。



< 12 / 32 >

この作品をシェア

pagetop