クリスマスイブ、牛丼屋にて。
「……なあ、もしさー」
「うん」
「来年もイブの日に一緒にバイトだったら、次はちゃんとケーキとチキン買って食べようぜ」
何気なくそう言ったような穂高は、雲が重く立ち込める空を見上げていた。
吐いた息が白くゆれる。
そんな穂高の言葉に、わたしはあはっ、と笑ってしまった。
「…絶っ対、いやだ!
来年にはちゃんと彼氏できて2人でクリスマスを過ごす予定だからね」
「はぁっ!?
……いや…、はぁ…。
おまえ、ほんとさぁ…」
「これでも華の女子高生なんで!」
そう言ってにやりと笑ってやると、彼はなぜか深いため息をついて両手で顔を覆った。
何かをぶつぶつ呟いているが、無視しておく。