クリスマスイブ、牛丼屋にて。
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着替え終わって更衣室を出た私に、若松さんが少し困ったような表情で尋ねてきた。
「あのさー、朝倉ちゃん。よかったら牛丼食っていかない?」
「え?」
「いや、今日牛丼出なさすぎて、肉が大量に余ってるんだよな。
どのみち時間経ちすぎたら廃棄なんだけど。その前に少しでも消費してくれるなら嬉しいな、と」
なるほど。
まあ、夜ご飯はこれから食べようと思っていたし、丁度いいか。
「わかりました。食べていきます」
「おー、さんきゅ。並盛りでいいか?」
「はい」
しばらくして若松さんが厨房からトレーに乗せた牛丼を携えて事務所に戻ってきた。
お礼を言ってトレーを受け取る。
ほかほかの湯気を立てた牛丼は毎日見ているものだけど、自分の前に用意されるとそのタレの匂いが私の食欲を刺激してきた。
なんだかんだ言って、まかないとして牛丼食べるのは久しぶりだな。
この店で働きはじめた当初こそ、ほぼ毎日のように食べていたけれど1ヶ月もしないうちに飽きてしまったのだ。