クリスマスイブ、牛丼屋にて。



退勤時間の21時まであと30分。



お肉の仕込みも終わってしまったので、仕方なくわたしも穂高の作業に加わることにする。



「とりあえずテーブル席の箸とスプーン全部集めて洗浄機で洗っちまったわ」

「おーけー、じゃアルコールかけて磨こ」



わたしが箸、穂高がスプーンをペーパーで拭いていく。


2人して黙々と作業していたので、有線で店内に延々と流れるクリスマスソングがいやに耳についた。

クリスマスらしい装飾のない、お客さんもいない店内と空陽気なクリスマスソング。


うわぁ、むなしすぎる。



「はあ、2年連続バイトイブ……」


何気なくわたしがつぶやくと、穂高が馬鹿にしたように鼻を鳴らした。



「華の女子高生が…、かわいそうなヤツ」

「いや、そう言う穂高だって2年連続一緒にバイトイブだよね!?」



自分のことは棚に上げるくせにわたしのことを馬鹿にしてくるの、一体なんなの!?


となりの穂高を思いっきり睨んでやるけど、ヤツは知らん顔で箸を拭いている。



む、むかつく!


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