年上幼なじみのあぶない溺愛
「ねぇ春哉、ヘルプ。ここわかんない」
ひと通り火神くんに教えてもらい、今度は違う教科の勉強をしていると、隣のテーブルから春哉くんの名前を呼ぶ女の先輩の声が聞こえてきた。
春哉くんのことを名前で、さらには呼び捨てにしており、よく話す関係なのかなと考えてしまう。
「ここ、難しいよね。俺も解いていて思ってたんだ」
自分の問題に集中しようと思うけれど、どうしても春哉くんたちの会話を拾ってしまう。
柔らかな口調に優しいその声は、いつもは私の心を落ち着かせてくれるけれど、今日は痛みに変わっていた。
幼なじみの私だけが特別扱いされているなんてあり得ないけれど、ほかの人とは少し違うのかなって勝手に期待している自分がいたのだ。