年上幼なじみのあぶない溺愛



「ね、どうなの志羽!」
「えっ、あ……」

「幼なじみの写真、見せてって言っても見せてくれないでしょ?」

「うっ……」


 だって、その幼なじみが、いま望美ちゃんが目を輝かせて話している春哉くん本人なのだから、言えるはずがない。


「あの、わ、私は……」

 視線を泳がせているとき、たまたま目に入ったのは、赤が目立つ団旗を持っている霧谷先輩の姿。


「霧谷先輩が……!」
「え?」

「霧谷先輩のほうが、いいなって、思ってて……」


 最初は勢いで言ったけれど、途中でなにを言ってしまったのだと思い、語尾が小さくなってしまう。

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