年上幼なじみのあぶない溺愛



 両隣に立つ男の人とほぼ同じタイミングで振り向くと、どこか不機嫌そうに視線を向けている男の人が立っていた。

 その人もまた同じ学校の制服を着ていた。


「相手いんのかよ」
「失敗だな」

 さらに驚くことに、両隣に立っていたはずの男の人たちは彼を見るなりすぐさま諦め、私のそばから離れていった。

 これは助かったのだろうか。
 というより、彼はツレと言っていたけれど私は彼のことを知らない。


 何か話したほうがいいかなと思っていると、彼が比較的小さな声で私に話しかけてきた。


「怪しまれたくなかったらツレのフリしろよ。あいつら、まだ近くにいるから」

「……っ」


 確かに、ここは電車内。
 いくら男の人たちが諦めてくれたとはいえ、すぐそばにいることは確かだ。

 今も少し後ろで『最悪の始まりだ』とか、『他にいい女はいないか』とか大きめの声で騒いでいる。

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