年上幼なじみのあぶない溺愛



「本当に楽しかったよね、今年の体育祭。一番楽しかった自信ある!」


 沙良先輩が春哉くんの言葉に頷きながら話していたけれど、まったく話が耳に入ってこない。

 意識はすべて、重ねられた春哉くんの右手にいっていた。


 さらに春哉くんは、恋人つなぎのように指を絡めてきて、徐々に顔があつくなる。

 誰かにバレてはいけないという緊張感とあわせて、心臓もバクバクとうるさかった。


「ずっと気になっていたんですけど、ふたりって付き合ってるんですか?」


 同じテーブルにいた女の子が春哉くんたちに質問していて、意識を逸らすため話に集中しようと思い、その子に視線を向ける。

 ぜったいに顔が赤くなっているだろうから、少し俯き加減になってしまっているけれど。

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