年上幼なじみのあぶない溺愛



「用もないのにイチイチ呼ぶな」
「確認しただけだもん……」


 まだ会ってまもないというのに、容赦なく厳しい言葉をぶつけてくる火神くん。

 見た目はクールで落ち着いているけれど、どうやら毒舌のようだ。


「ガキみたいに拗ねんだな、めんどくせぇ」
「なっ……ひどい。初対面の人に言うことじゃないよ!」

「一応入学式の日に会ってるけどな」
「だけど私は火神くんのこと知らなかった……」

「じゃあなんだ、よそよそしくしろって?」
「そういうことじゃない、けど……」


 先ほどの男の人たちとはまた違った怖さが火神くんにはあった。

 なんというか、かなり言葉がトゲトゲしい。
 火神くんが言葉を発するたび、鋭利物を向けられているような感覚に陥った。


 春哉くんはいつも穏やかな口調で、優しく相手を包み込むような柔らかい声音をしている。

 怒っているところなんて見たことがないし、むしろいつも優しい笑みを浮かべているような人だ。

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