年上幼なじみのあぶない溺愛
12.離れたくない



 体育祭の翌日は休みだったけれど、春哉くんが家に来ることはなく。

 学校がある日の朝も、春哉くんが私を起こしに来ることも家の外で待っていることもなかった。


 久しぶりにひとりで駅までの道を歩いたけれど、となりに春哉くんがいないだけで耐えきれない寂しさに襲われ、泣きそうになった。


「志羽、なにがあったの!」


 それでも友達に心配をかけさせないよう、頑張って笑い、いつも通りの自分で接するように意識していたけれど。

 休み時間に望美ちゃんが真剣な表情で私に話しかけてきた。


「えっ……と」

「気づいていないとでも思ったら大間違いだよ!私は志羽の友達なんだから、いつもと違うことぐらいわかるからね!特に授業中の志羽、魂抜けてたよ!」


 授業中の私、そんなにひどかったんだ。
 けれど授業に集中できなかったのは確かである。


「体育祭の日、火神となにかあったの?」


 望美ちゃんの指摘に対し、思わずギクリとしてしまう。

 火神くん……とも、なにもなかったわけではないけれど。春哉くんのことで頭がいっぱいで、すっかり忘れてしまっていた。

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