年上幼なじみのあぶない溺愛



 そうだ、あの場には火神くんもいたのだ。

 話をしようと思っていたけれど、いまの私にそのような余裕はなくて……。


「俺じゃねぇよ」
「え、あっ火神!ナイスタイミング!」

 なんて言葉を返そうかと悩んでいると、火神くんが間に入ってきた。


「で、火神じゃないってどういうこと?」
「宮下を送ってる途中にこいつの幼なじみに会ったんだよ」

「……え、ちょ、それはどういうこと!?」


 おどろく望美ちゃんを見て、火神くんが「やっぱり話してなかったのか」と口にしていた。


「そのままの意味。年上の幼なじみと会って、相手は俺見てピリピリしてたな。そのあとはどうなったか知らねぇけど、宮下の反応見たらだいたいわかる」


 今度は私に視線を向けてため息を吐いた火神くん。

 どうやらすべてお見通しのようだ。
 それほど顔に出ていたのだろうか。


「えっ、修羅場……!?」

「そんなんじゃねぇよ。相手がすぐに宮下を回収してった」

「そのあと志羽はどうなったの!?もしかして、なにか言われて落ち込んでる?」


 火神くんもだけれど、どうして望美ちゃんはこんなにも鋭いのだろうか。

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