年上幼なじみのあぶない溺愛



 改札を出たところに立っていたのは、間違いなく私の大好きな春哉くんだった。

 久しぶりに春哉くんを見れた気がする。
 そのためか、頭が真っ白になってしまい、言いたいことがすべて頭から吹き飛んでしまう。


「えっと……あの、春哉く」
「もしかして、俺を待っていたの?」

「あのね春哉くん、私……春哉くんと話がしたくて」
「今はそれどころじゃないよね?傘はどうしたの?」


 春哉くんの声がいつもより低い気がして、やっぱり怒っているのだと思った。

 けれど体育祭の日のような恐怖は不思議と抱かず、いつも通りの自分で春哉くんと話すことができた。


 なんでだろう、雨に打たれて逆に冷静になれたのかな……なんて。


「今日が雨って知らなくて……」


 ふと春哉くんの手を見ると、傘を持っていた。

 そう言えば、雨予報の日はいつも春哉くんが私に傘を持ったか聞いてくれていたな。


 今更ながら、春哉くんに頼りっぱなしだった自分に気づかされる。

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