年上幼なじみのあぶない溺愛



「あの、春哉くん……私に触ったら春哉くんの手が濡れ」

「なにも話さないで俺についてきて。話はぜんぶ終わったあとに聞くから」

「ほ、本当……?」

「まさか駅で待たれるとは思わなかったよ。話があるなら連絡してくれたらよかったのに。志羽は本当に俺の感情を乱すことばかりする」


 珍しく春哉くんが早口で、私に対して怒っているのか、それともひとりごとなのかわからなくなった。

 けれどいまの春哉くんになら、怖がらずに思っていることをすべて言える気がした。


「じゃあ、あとで春哉くんの家に行っていい……?」
「なに言ってるの、いますぐ俺の家に来て」

「えっ、でもこんな濡れてて……」

「濡れてるから来るんだよ。こんな状態で志羽をひとりにさせられない」


 一度着替えて春哉くんの家に行こうと思ったけれど、なぜか春哉くんはすぐに家に来るように言われてしまった。

 さすがにこの格好であがるのは申し訳ない。

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