年上幼なじみのあぶない溺愛
「うん、もう乾いたかな」
「ありがとう……!」
すぐに立ち上がって春哉くんにお礼を言う。
けれど春哉くんは私を見つめながら、しばらくの間反応がなかったかと思うと、突然私の背中に手をまわして抱き寄せてきた。
「わっ……!?」
立ち上がっていた状態だった私は、バランスを崩して春哉くんの元へと倒れ込んだ。
結構な勢いがついていたため、慌てて離れようとしたけれど、春哉くんの抱きしめる力に敵わずおとなしくする。
いま、春哉くんはどういう感情で私を抱きしめているのだろう。
自分から話を切り出すべきかと思っていたときだった。
「志羽、お願いだからもうあんな無茶はしないで」
「……へ」
おそるおそる春哉くんを見上げると、春哉くんはどこか苦しそうに顔を歪ませていて、なぜか泣きたくなった。
「ごめん、今日俺が早く帰ってればこんなことにはならなかったのに」
「春哉くんが謝らないで……!ぜんぶ、私が勝手にやったことで……それで」
春哉くんにそんな顔をさせたくて待っていたわけじゃないのに。
私の行動がすべて空回りした挙句、春哉くんに迷惑をかけてしまった結果を前に、ついに涙が堪えきれなくなってしまう。