年上幼なじみのあぶない溺愛



「あの、私……」

 今の関係じゃ足りない、物足りない。
 もっと、もっと春哉くんと近づきたい。

 春哉くんの……。


「春哉くんの、彼女になりたい」

 勇気……なんてものは正直なかった。
 熱で思考回路が鈍くなっているためか、素直に自分の想いを口にすることができていたのだ。


「もっと、春哉くんに近づきたい……春哉くんが、好き……なの」

 言った、ぜんぶ。
 伝えることができた、春哉くんに。


 けれど、今度は春哉くんの反応がどのようなものかと怖くなる。

 怖くなって、視線を外していたときだった。


「やっと」
「……へ」

「やっと、言ってくれたね」
「春哉く……」

「俺も好きだよ、志羽のこと。ずっと自分のものにしたかった」


 春哉くんは優しく笑って、私の頭を撫でながら。

 確かに“好き”と言ってくれた。
 自分のものにしたかったって、それはつまり……期待してもいいの?


「……っ、春哉く……」
「うん?」

「ほんと……?」

「うそなんかつくわけないよ。志羽こそ、本当に俺の恋人になってくれるの?」

「なる……!なりたい!」


 嬉しくて、思わず上体を起こして春哉くんに抱きついた。

 なりたい、春哉くんの恋人に。
 春哉くんじゃないと嫌だ。

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