年上幼なじみのあぶない溺愛
「春哉くんがいいの……!」
「……っ、いま可愛いこと言われたら困るよ志羽」
「……え」
「俺、言ったよね?弱っている志羽に手を出すのは悪いと思うって」
「うん……」
「それなのに、そんな可愛いこと言われたら俺、病人の志羽を襲っちゃうよ」
「……っ!?」
冗談っぽく言ってくれたらまだ流せたけれど……あまりにも本気のトーンで言うものだから、勢いよく春哉くんから離れた。
「うん、いい子だね。警戒されるのは悲しい気もするけど、いまはありがたいな」
「あの……春哉くん」
「どうしたの、志羽」
「もう、私たちは幼なじみじゃない……?」
「うーん、幼なじみじゃないって言い方は少し語弊があるかな。幼なじみでもあり、恋人関係でもあるって言い方が正解な気がする」
「春哉くんと幼なじみでもあり、恋人関係でもある……へへ、嬉しいや」
ついつい春哉くんの言葉を復唱し、嬉しくて頬が緩んでしまう。
これは都合のいい夢……とかじゃないよね?
「志羽、これからは恋人としてよろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします……!」
「うん。もう手加減なんてしないから、覚悟していてね」
「……へ」
春哉くんは笑顔……だったけれど。
今の言葉を口にした春哉くんが少し怖いと感じて、ゾクッとした。
「これで正真正銘、志羽は俺のものだから」
今の春哉くんは、どこか悪い人のように思えてしまってならなかった。