年上幼なじみのあぶない溺愛



「ごめんね、春哉くん……」
「やっぱり勘違いするよね、志羽は」

「……へ」
「ううん、なんでもないよ」


 ぜったいに今、なにかを濁された。
 けれど春哉くんはいつもの優しい笑顔を浮かべており、追求しようにもできない。


「じゃあ今日の放課後、図書室に向かうね……!」
「うん。俺もなるべく早く向かうから」

「ゆっくりで大丈夫だよ!席は私がとっておくから」
「志羽に会いたいから急ぐんだよ」

「……っ」


 春哉くんはさらっと私をドキドキさせることを言うからずるい。


「本当はこのまま一緒の車両に乗って行きたいんだけどね」

「そ、それは……まだ」

「わかってるよ。志羽の心の準備ができるまで、待つって決めているから」


 春哉くんと付き合ってからも、私たちはいつもと同じ別々で登校している。

 春哉くんは私と一緒に登校して、付き合っていることを公言したい様子だったけれど、私にはまだその勇気が出なかった。


 正直に話すと春哉くんは私の意見を尊重してくれ、心の準備ができるまで待つと言ってくれた。

 だからせめて、春哉くんが同じ高校に通っているうちに、勇気を出して一緒に登校し、それから……私が春哉くんの彼女だと、胸を張ってとなりに立てるようになりたい。

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