年上幼なじみのあぶない溺愛
「志羽、わかった?」
「……うん」
何度もコクコクと頷き、春哉くんの言葉を受け入れる。
火神くんの名前を出したら、キスされるなんてかなり厳しい条件だったけれど。
「いい子だ。志羽はもう、俺だけのものになったんだからね。そろそろ自覚してほしいな」
恥ずかしくて俯く私の頭を撫で、話を続ける春哉くんに耳だけを傾ける。
時折、小さく頷きながら、春哉くんの話をちゃんと聞いているとアピールしていた。
「俺は恋人として、志羽を独り占めしていい権利があるからね。誰にも渡す気はないし、誰にも俺たちを邪魔させないよ」
私と恋人つなぎをするように指を絡ませてきて。
甘さの含んだ声に、胸がドキドキして乱されるのがわかる。
先ほどの怖くて不機嫌な春哉くんから一転、甘くなり違う意味で心臓に悪い。
「ほらな、やっぱり春哉のほうがやばいだろ?」
霧谷先輩が口を開いたことにより、望美ちゃんや沙良先輩も話し始め、ようやく春哉くんが私から離れてくれた。
「じゃあ志羽、俺にわからないところを教えて」
気づけば春哉くんは満足気に笑っており、もう怖い雰囲気は纏っておらず、いつもの春哉くんに戻っていた。