年上幼なじみのあぶない溺愛



 もしかしたら落ちろと思われて……。


「志羽、浮かない顔してる。なにかあったの?」
「……あ」


 またマイナス思考に陥ってしまう自分がいた。


「う、ううん!なんでもないよ!おいしかったね!」
「……俺に言えないこと?」

「春哉くんは本当に心配のしすぎだよ。私のことは本当に気にしないで」

「気にするよ。志羽は俺にとって大切だから」


 私は春哉くんにとって大切な存在?
 きっと大切な幼なじみという意味合いだろうけれど、その言葉は私を安心させる。


「……うん」
「じゃあ俺に理由を話してくれる?」

「それは……言わない」


 というより、言えない。

 首を横に振って否定すると、春哉くんは悲しそうな顔をしてしまう。


 その顔に弱い私は、見ないようにとギュッと目を閉じた。


「志羽、どうして目を閉じるの?」
「……春哉くんがそんな顔をするから」

「俺のせい?」
「うん」


 しばらくその状態が続いていると、ようやく諦めてくれたのか、春哉くんが小さく息を吐いた。


「俺が折れるしかないみたいだね」

 おそるおそる目を開けると、もう春哉くんは悲しい顔をしていなかった。

 いつものように優しく微笑み、私の頭を撫でてくれる。

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