年上幼なじみのあぶない溺愛
「へぇ、意外。火神ってすぐに起きて不機嫌オーラを醸し出していそうなのに」
望美ちゃんはその様子を見て驚いていたけれど、つい確かにと頷きそうになった。
あぶない。もし私がその言葉を口にすれば、なに偉そうなことを言って……と本気で怒られそうだ。
「あっ、そうだ」
「……望美ちゃん?」
「志羽が起こしてあげなよ、火神のこと」
「えっ、私!?」
どうしてここで私の名前が出てきたんだろうとおどろいてしまう。
「もしかしたら起きるかもしれないよ」
「それなら望美ちゃんでも……」
「志羽じゃないとダメなの!」
望美ちゃんは不自然なほどにニヤニヤと笑っていたため、なにか裏があるのかなと思ったけれど、バスが停まったタイミングで立ち上がり、火神くんのそばに行く。