年上幼なじみのあぶない溺愛
「なにあれ」とか、「やばいね」とか小さな声でクラスメイトの女の子たちが話していて、誤解だと叫びたかったけれど、まずは火神くんを起こさないとこの状況から抜け出せない。
「火神くん……!私は抱き枕じゃないよ!」
何度も離れようと試みるけれど、力が強くてまったく敵わない。
これが男の人の力なんだ……普段、どれだけ春哉くんが私を優しく扱ってくれているのが身をもって知ることができた。
なんて、今はそれどころではない。
もう一度火神くんから離れようとしたとき、ようやく彼がピクリと動いた。
「……っ、火神くん……!」
「……ん、なに」
ようやく目が覚めたようで、ゆっくりと私を解放してくれる。