明日、雪うさぎが泣いたら
思いつくことがあるうちは、やってみるしかないのだ。
たとえ、それがどんなに突拍子もなくとも。
(……でも……)
問題は、果たしてあの扉が開くかどうかだ。
雪狐の力を借りないならば、いつ開くとも、開くか開かないかも分からない扉――けれど、ここではないところへ繋ぐ、たった一つの扉。
それを待っているだけではなく、抉じ開けることなど可能なのだろうか。
(ううん。可能かどうかで悩んで、部屋でじっとしていたって仕方ないわ)
――やらなくちゃ。
後から悔やみ、嘆くのはもう嫌だ。
泣いてばかりもいられない。
それでも、けして止まってくれないのなら。
泣きながら、喚きながら、動くことだってきっとできる。
だって、俯いたままじっと座っているなんて、気が狂ってしまいそうだ。
「きっと、この為だったのよ」
この為に、きっと私は今ここにいるのだ。
私しかできないことだって、どこかに必ずあるはず。
そう、もう一度頬を叩いて気合いを入れた。
あの熱を思い出せば、どうしたって火照ってしまうし、そうすればその分それを恋しがって、また滴る。
だから、震えていても、まだ立ち上がれるうちに。
支度を済ませ、深呼吸をすると、その足でそこへ向かう。
だって、少しでも間をおいてしまえば、恐怖と不安で足が竦んで一歩も動けなくなってしまうから。