明日、雪うさぎが泣いたら

『良くはないのだろうな。お前はこれから、どんどん私を嫌いになるぞ。初恋の相手と再会する手段を奪われ、散々嫌だと言っていたことを強いられるのだから』

『そんな……!確かに、閉じ込められるのは嫌です。兄様のことは尊敬しているし、大好きだけど。でも、おかしいものは、おかしい。そう、私は言い続けるのだと思います。でも、嫌いになったりなんて……!』


今までも、意見の食い違いはたくさんあった。
大抵は兄様が甘やかしてくれていたけれど、時には喧嘩だってしたこともある。
だとしても、そのどこにも兄様を嫌う理由はなかったはずなのに。


『それだ』


叫びに近い声がうるさかったのか、混乱しきった状態でそれを言ってほしくなかったのか。
唇に指先が当てられ、私は黙るほかになかった。


『最初に言っておくことがある。私は自信がないのだ』


ビクンと震えたのが、はっきりと見て取れたはずなのに離してくれない。
そのまま黙っておけというように、唇に隙間をつくらせないよう空間を埋めたままだ。

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