明日、雪うさぎが泣いたら
『私のことは信じるな。そうなってしまえば、その権利を得てしまえば。さて、いつまでまともでいられるやらな。少なくとも、お前の中の兄様像は一瞬で崩れ去るぞ。だから、そんなものは先に失くしておいてくれ』
『……無茶を言わないでください』
一瞬で消えてしまって傷つくくらいなら、今からゆっくりでも失くしておけなんて。
そんなこと、どうしてできるだろう。
今もそんな、悲しそうな顔をしておいて。
『ならば、私の前で夢の男の話でもしてみるといい。次にその話が出れば、きっと嫌でも分かる』
(……まさか、こんなことになるなんて)
はっきりさせたかったはずだ。
考えようによっては、これでよかったのかもしれない。
何にせよ、これで自分の気持ちを見つめ直すしかなくなったのだ。
(……ううん。やっぱり、よくないよ)
兄様は私を守る為に、自分を悪者にしている。
将来を奪っているのは私の方だ。