明日、雪うさぎが泣いたら
こんなことをする男の子は、私の周りにはいない。
不思議な服装もあってか、彼はとても大人びて見える。
『やっぱり、いや。ここにいて。ダメなら、さゆを連れてって』
ませていて、そのくせ我が儘なお願い。
大人になった今、こうして見ていると、彼の困った様子に同情してしまう。
でも、少女の私はどうして大好きなのに側にいられないのか、全く理解できていなかった。
『さゆ、泣かないで。そんなに泣いたら、ほら』
――目が、雪うさぎみたいになってる。
『大丈夫。だから、今日はお帰り』
大丈夫じゃない。
だって、もうこんなに寂しいんだもの。
だから、お願い。
「一緒にいて」