明日、雪うさぎが泣いたら
『嘘だ。……さゆだって、もうちょっと大きかったら……』
こうして一緒に遊んでくれただろうか。
困り顔をしても、付き合ってくれただろうか。
それに、自分が成長する頃には、この子はもっと大人になっているはずなのだ。
その時にはもう、ここは彼にとって必要のない世界になっているかも。
急にそんな不安がもたげ、その先を口にすることができなかった。
『拗ねないの。そうだ、今度ここに来られたら、さゆに似合いそうなものを持ってきてあげる』
『ほんと!? 』
(現金すぎるでしょ)
途端に目を輝かせる童女に、男の子と揃って苦笑した。
意味のない言い訳をするならば、もちろん彼から貰えるのなら何でも喜んだのだと思う。
あの頃の私には彼はとても神秘的で、すごく格好良かった。
憧れの存在が自分の為に贈り物を選んでくれるなんて、想像するだけでドキドキする。
『本当。だから、今日はちゃんとおうちに帰って。いい子で待っていないとあげないんだからね』
それはいや。
本当はこのままずっと、こうして側にいたいけれど。
彼が似合うと言ってくれたものを見てみたかったし、いい加減愛想を尽かされるのはもっと嫌だ。
『…………うん』
葛藤の末、泣きながら頷く私にあのおまじないを。
『大好きだよ、さゆ。きっとまた……早く逢えますように』