Honey×Secret
「あ、甘蜜さん大丈夫…?」
「だ、大丈夫だよ…!」
どうやら私が吊り革から離れた時に
雪城くんが私が離した腕を掴んで
引っ張ってくれたようだった。
にしてもこの体制って…私が雪城くんに
抱きしめられている状態だよね…!?
明らかに雪城くんの吊り革に掴んでない
腕が私の腰に回ってる…!
異性にこんな事されたのは初めてで
私は頬が熱くなるのを感じた。
「あ、あの雪城くん…」
「なに?」
「も、もう…大丈夫だから離れても…」
「だめ」
離れようと動くと雪城くんは
一向に離す様子がなくしっかりと
腰に腕を回した状態のままでいた。
このままは流石の私も心臓が持たない…!
「また揺れて倒れたりしたら
ミルキー姫に会えなくなるよ?」
「…それはやだ」
「なら着くまでこのまま我慢して」
「は、はい…」
雪城くんの言われた通りに私は駅に
着くまで抱きしめられたまま雪城くんの
洋服に手でギュッと掴みながら早く駅に
着いてほしいと願っていた。
*
*
*
*
*
「つ、着いた…!」
「結ちゃんお疲れ様…」
「咲彩ちゃんもお疲れ様…」
車内が混んでいる中でようやく駅に
到着し改札口に出ながら、まだ遊んで
いないのにも関わらず疲れてしまっていた。
「それにしても結ちゃん」
「ん、なに?」
「車内にいた時、雪城くんに
抱きしめられたよね?」
「…ぶっ!」
まさか咲彩ちゃんに見られていたなんて
思っても見なかった私は口に含んでいた
お茶を思わず吹き出しそうになった。
「え、結ちゃん大丈夫…!?」
「だ、大丈夫…」
咲彩ちゃんに背中をさすられながら
私は手で口を抑えながら咳をした。
「咲彩ちゃん…見てたの?」
「うん…ばっちり…あの時の
雪城くんの顔凄かったよ…」
「そ、そうなんだ…」
やっぱり後ろに倒れる所を
見えてたなら尚更焦るもんね…
なんか雪城くんに
申し訳ない事しちゃったな…