魔界の華は夜に咲く
「リディ様!お嬢様ー!?あ・・アルヴァン様!」


息を切らしながら追いかけてきた侍女は驚いた顔をしていた。


「旦那様、本日はお城へ行かれたのでは?」


「ああ、今日は姫の護衛だからついでに俺の事を知ってもらおうと思ってな」


「さ、さようでございますか」


侍女はバツが悪そうだ。急に冷や汗が出てきた様だった。


「あいつはいるんだろ?」


「奥様は・・」


「ああ、いつものか。だからリディと離れに来たんだな」


「・・・」



そう言われ侍女は押し黙ってしまった。


「離れで休むとしよう。茶を持て」


「あ、はい!すぐにご用意いたします」


いそいそと侍女は走って行った。


「アルヴァンさん?」


「近くに離れがある。そっちに行くぞ」


「はい」


アルヴァンはリディを抱き上げ歩き出した。



_ほ、奥さんには会わずに済みそう。良かった。



ホッと一息つけそうだと思った。

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