魔界の華は夜に咲く
「正直、俺の事をちゃんと話しておきたかったんだ。魔王が定めた婿候補の1人として・・本気でお前と向き合いたいと俺は思っている」



刺すような真剣な目つきでジッと見つめられた。



「だから、お前もちゃんと考えて欲しい。頭ごなしに拒否するのはよしてくれないか」


「・・ごめんなさい」



謝るしかない。

本気だったんだと思い知らされる様な、そんな空気だ漂った。



「とうしゃま?」


「リディ、お前は母さんは好きか」


「んー・・すき・・だけどぉ・・あんまりあそんでくれないかなあ。おはなしもしたいけど、いつもしらないおとこのしとがいて・・つまんないの」


「うん、だよな。ごめんな」


アルヴァンはリディの頭を撫でると、抱き上げて侍女へ託した。


「すまないが姫とちゃんと話をしたい。リディと外で遊んでやってくれ」


「かしこまりました」


察してくれた様に侍女はお辞儀をして外へと出ていった。


「アルヴァンさん・・?」


バルコニーからリビングへセンジュの手を取り入る。

その手は熱く、力強く感じた。


近くにあったソファにセンジュを座らせ、目の前で跪いた。
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