魔界の華は夜に咲く
外へ出ると庭はすでに火の海だった。


「ち、これは酷い・・・・はっ!!」


センジュを下ろした先に何かを見つけアルヴァンは言葉を失った。


「アルヴァンさ・・ぇ?」


緊張で体が硬直した。

2人の目の前に見えたのは侍女とリディの姿だった。

倒れている。


「おい・・おい!しっかりしろ!!リディ!!」


土にまみれた小さな体をアルヴァンは揺さぶった。


「とう・・・ま」


か細い声が微かに聞こえた。


「・・・」


しかしそれ以降は何も聞こえなくなってしまった。


「リディ・・リディ!」


アルヴァンの足を侍女が掴んだ。

息も絶え絶えながら必死に訴えたかったようだ。


「だん・・・ま」


「ああ、聞こえる!どうしたんだ!」


「奥さま・・と・・一緒にいた・・者が・・・」


「なんだと!?」


侍女を掴む手がぶるぶると震えた。


「姫・・・狙って・・」


「!・・そういう事か・・わかった」


そのままこと切れた侍女の瞼を抑えた後、アルヴァンは凛と立ち上がった。


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