天魔の華は夜に咲く
食事を終え、エレヴォスは城にある中庭にセンジュを誘った。

魔界の夜は真っ暗で、灯りが無いと何も見えない程だった。

中庭には外灯が列をなしていた。


「こちらで休みましょうか」


木で造られたガーデンベンチに2人並んで座った。


「今日の晩餐はいかがでしたか?」


「はい、とても美味しかったです」


「それはよかった」


エレヴォスは常に笑顔を絶やさない。

魔界一気遣いが出来る者である。


「この魔界はずっと平和だったのですが・・昨今、暗躍している者たちが表面に出てきました」


「裏・・四大魔将ですか」


「ええ、本来四大魔将は魔王が名付けた名誉ある戦士の称号です。それを使い悪行を働いている・・決して許せることではありません」


「何故・・なんでしょうか」


「平和だからでしょうね」


「良い事じゃないですか」


「フフ・・まあ、魔族には血の気が多い者がいます。血に飢えた者達は暇を持て余している」

「そ、そうなんですか」


「その力は本来、天界族との闘いで発揮してもらいたいところですけどね」


「天界?」


「人間はあの者達を天使と呼びますね」


「え!?天使!?いるんですか!?」


その驚き様にエレヴォスは声を出して笑った。


「フフフ・・センジュは本当に可愛らしい。我々魔族がいるのですから、そんなに驚かなくても」


「あ・・・そ、そっか・・いてもおかしくないって事ですね」


「ええ。そういう事です。因果の関係にありますから、ずっと敵対してきました。しかし最近は天界も静かです。なので、平和なのです」


「・・なるほど」


_きっと元々は戦う事が好きな民族なんだな・・魔界の人って。


「種族が違うというだけで、何処にでもいます。人の幸せを壊そうとしてくる者達は」

「そう、ですね・・人間でも沢山います」

「どの世にも撲滅しない存在がいるのです。残念ですがね」


センジュは納得した。


_やっぱり魔界で暮らす以上は、自分くらい守れるようにならなきゃ駄目なんだ。

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