魔界の華は夜に咲く

朝食を食べた後、迎えに来たフォルノスの部下に連れられて訓練場へとたどり着いた。


「あれ、まだフォルノスは来てないんだ」


「すぐいらっしゃると思います」


と辺りを見回していると、遠くからもう一人の部下が駆け付ける。


「今日は訓練はなしです」


「え・・どうしたんですか？お仕事でも・・？」


「それが・・・」


部下は気まずそうだ。言いたくない様だった。

センジュは何故かその表情に嫌な予感がした。


「教えてください」


部下は戸惑った様だったが、意を決して頷いた。


「今朝、フォルノス様の朝食に毒が入れられておりました」

「え！？」

「今は医務室で休んでおられます」


＿毒って・・・毒殺！？なんで！？


「連れていってください！」


「しかし・・」


「お願いします。心配です！」


「こちらへ」


部下はセンジュを連れて医務室へと向かう。

センジュの心はもやがかかった様に不快感に襲われていた。


＿いつだって魔界は危険な場所なんだ。あのフォルノスが狙われるなんて・・。


医務室の扉を開けると、ベッドに青白い顔のフォルノスが眠っていた。


「フォルノス・・」

「今は薬で眠っておいでです。そっとしておいてくださいませ」


城の医師が静かに言った。


「フォルノスは無事ですか？」


「ええ、幸い気づくのが早かったので。しかし禁止されている猛毒を使われておりましたので・・回復に時間がかかると思います」


「そんな・・・」


＿四大魔将って魔界の中でも一番強いんだよね？そのトップのフォルノスでさえもこんなになってしまうなんて・・魔界って本当に酷い場所なんだ。


立ち尽くしていると近くにいた侍女が椅子を用意してくれた。


「こちらへおかけください」

「あ、ありがとうございます」

近くで見るとより顔が青く見える。

息も苦しそうにしている。


「フォルノス・・」


涙目になっているセンジュを見かね、医師は気を使ってくれた。


「私どもは隣の部屋で薬剤を調合しております。何かありましたらお呼びください」


「あ・・はい。わかりました」

「我々は外で警護しますね」

「ありがとう・・」


フォルノスの部下達も部屋から出ていった。


しんと部屋は静まり返った。