魔界の華は夜に咲く
その空気に飲まれそうになり、センジュは慌てて質問を変えた。
「あ、あ、じゃなくて・・フォルノスの事、どう思いますか？私、いまいちフォルノスの事わからなくて」
絶対にやせ我慢をしているであろうアルヴァンは固まったまま口角を上げた。
「わからなくていい」
「え？」
ぎこちない笑顔だ。
「あのクソ野郎はセンジュの頭から消してほしい」
後悔先に立たず。アルヴァンのなんとも言えない苦い表情にセンジュは青ざめた。
＿うわ・・アルヴァンさんてフォルノスの事めっちゃ嫌ってるんだっけ！？そうだっけ！？ええ！？この前普通に話してたよね？
その光景は仕事モードだったからだというのをセンジュは知る由もない。
慌てふためくほどアルヴァンの様子はおかしかった。
目がランランと光っている。フォルノスに対する殺意かもしれない。
「あの野郎は俺の耳元で囁くのが好きなんだ」
「えっ」
「無能とか、グズとか・・ぐあああ！！思い出すだけでもはらわたが煮えくり返るわ！！」
初めて見るアルヴァンの素の怒り状態。
「あいつの性格はマジで最悪だ。絶対に一緒に任務なんかしない。絶対に！！」
過去に何かあったのだろう。アルヴァンの目が据わっている。
「はわわ・・」
恐れをなしているセンジュを見つけ、ようやく我に返った。
「あ、すまない・・つい。忘れてくれ」
＿絶対に忘れられません・・ほんとにごめんなさい。
口から牙が生えてきそうなくらい般若な顔をしていた。
「ま、とにかく。絶対に反対だ。あんな氷で出来た、いや鉄で出来たヤツ」
「・・・あ」
しっかりと一つ目の質問を考えていたらしい。
アルヴァンはにやり、と意地悪そうに言った。
「というか、何？忘れてるのか？」
「え？え？」
アルヴァンはベッドに上るとセンジュの上にまたがった。
上から見下ろされた。
ニコリ。
「俺の前で他の男の話するとどうなるか・・忘れたの？」
ドキーーーーッ！！！
＿あ、ヤバい。忘れてたーーーーーーーっ！！
セヴィオの話をした時の事を思い出したが後の祭りだった。
片手で両手を拘束され、もう片方の手で顎を持ち上げられた。
「ア、アルヴァンさん・・怖い・・です」
「怖いか？だって怒ってるんだもんな。怖くて当たりまえだ」
「ごご、ごめんなさい！気を付けますからっ！」
アルヴァンはワザとらしくセンジュの顎をなでなでする。
「本当かなー。次はエレヴォスの話をする気だったんじゃないか？」
「しません！絶対にしませんからっ」
＿うわうわっ・・本気で怒ってる顔だよ、マジで怖いよ・・どうしよう。
「それにさっきの質問・・腹立つから思い出したくもないけど、なんでフォルノスなんだ？」
ドキッ
「あ、えと、その・・なんとなく・・」
ぐっ、とアルヴァンはセンジュの胸を鷲掴みした。
丁度心臓の上だ。
「ひゃあ！何！？なんですか！！」
されたこともない行動に焦りまくりだ。
アルヴァンのとてつもなく怒りで低い声に体に電気が走った。
もう笑みは消え去った。
「なんとなくでフォルノスを選ぶのか？お前は・・」
「ちち、違います！ごめんなさい！昨日フォルノスに言われてっ」
もう涙目だ。
「・・・へえ」
アルヴァンの目が大きく見開いた。
「俺、前に言ったよな？ロボットになるな。お前が幸せになれる相手を選べと。愛を知れと」
「は、はい・・」
「お前には人を愛する権利がある。だが、フォルノスは正直選んで欲しくない。あいつはお前を道具としか見ない」
「昨日、話をしたときフォルノスは思いつめている感じがしたんです。自分を殺してるような・・」
「本当はちゃんとした感情があると？」
「あの人は魔界の為に自分を殺してるって思えて」
「で？お前も同じ様になりたいと思ったのか？あいつに共感したのか？」
ドキン
全てお見通しな発言だった。
「感情を殺し、愛を殺して生きるのか？お前の幸せそうな顔を俺はもう見れないのか？」
ゴクリ。
とアルヴァンの息を呑む音が聞こえた。
センジュの返す言葉に緊張をしている様だった。
「わ、わかんなく・・なっちゃって・・その・・悩んでました。ごめんなさい」
素直に謝った。アルヴァンの瞳が動揺しているのをセンジュは見逃さなかった。
「頼むからやめろ・・正直・・がっかりした」
ズキン
かすれ声が耳元で聞こえた。
落胆した声だ。
「お前は、お前らしくいて欲しいよ・・俺は」
「・・アルヴァンさん」
「魔界の為に尽くす、それは良い事だ。だが、決してお前を殺すな」
ズキン
一番胸が痛い言葉だった。
その言葉に涙が溢れた。
縛られた茨が解かれていく気がする。
「だって、フォルノスは・・私が・・他の人を選んだら・・魔界が壊れるって」
「馬鹿！大馬鹿！なんで素直に受け取るんだ馬鹿！」
３回も馬鹿と言われた。
センジュは心を開放するように泣きじゃくった。
真剣に叱ってくれたことが嬉しかった。
「だって・・本当にそうなったら・・嫌だから・・っ」
「あー・・クソ。あいつ殺してぇな」
「だ、駄目っ」
「わかってるよ！この馬鹿が」
アルヴァンはそのままセンジュの唇を奪った。
「ふ・・アル・・っ」
怒りに任せて何度もついばむ。
「俺を見ろ」
顔を両手で押さえられ、ジッと見つめられた。
「前にも言った。俺はお前の事を本気で考えている。お前の笑った顔が好きだからだ」
「・・・う・・」
「忘れろ。フォルノスの事を今から一度も考えるな。俺を想え」
「アルヴァン・・さん」
強めに唇に噛みつかれる。
「お前の心に俺を入れろ」
「ん・・やっ・・」
耳を噛まれ、そのまま首筋にも噛みつかれた。
「俺を感じろ・・他には何も考えさせない」
「あ・・や・・嫌・・」
「嫌か？俺よりあいつがいいか？」
「ちが・・アルヴァン・・さっ・・んあっ」
アルヴァンの唇が、手が、指がセンジュの体を優しく撫でた。
大きな手が髪をかきあげる。くすぐったくも、気持ちいい感覚だった。
大切にされている様な触れ方に思えた。
「はぁ・・はぁ・・熱い・・です」
息の切れ方が熱のせいでおかしいと気づいたアルヴァンは、我に返り手をとめた。
「・・ん。ごめんな。俺も熱くなった。お前の事になると何故かこうなる」
そう言ってもう一度アルヴァンはセンジュを抱きしめた。
「今度は熱が無い時に思いっきり抱くな」
「・・だ、だめ！・・れす」
ぎゅーんと熱が上がってバテた。
「フフ・・お前はそのままでいい。ずっと」
アルヴァンは頬にキスをすると、近くにあったタオルを絞って額に乗せた。
それから立ち上がり、廊下に出る。
「聞いていたのか？悪趣味だな」
「偶然通りかかりまして」
エレヴォスが静かに笑っていた。
「アルヴァンがそういう策に出たので、私はどうしようかと考えていたんです」
「やっぱり悪趣味だな」
「フフ、センジュは本当にいい子ですね。可愛い」
「・・・」
その言葉にアルヴァンは黙って睨んだ。
「睨んでも駄目ですよ。私にも権利はありますからね」
「どうでるか知らんが・・あいつを傷つける事だけは許さないからな」
「わかってますよ。私はフォルノスとは違います。そこは安心してください」
と頷きながら長い廊下を歩いて行った。
「あ、あ、じゃなくて・・フォルノスの事、どう思いますか？私、いまいちフォルノスの事わからなくて」
絶対にやせ我慢をしているであろうアルヴァンは固まったまま口角を上げた。
「わからなくていい」
「え？」
ぎこちない笑顔だ。
「あのクソ野郎はセンジュの頭から消してほしい」
後悔先に立たず。アルヴァンのなんとも言えない苦い表情にセンジュは青ざめた。
＿うわ・・アルヴァンさんてフォルノスの事めっちゃ嫌ってるんだっけ！？そうだっけ！？ええ！？この前普通に話してたよね？
その光景は仕事モードだったからだというのをセンジュは知る由もない。
慌てふためくほどアルヴァンの様子はおかしかった。
目がランランと光っている。フォルノスに対する殺意かもしれない。
「あの野郎は俺の耳元で囁くのが好きなんだ」
「えっ」
「無能とか、グズとか・・ぐあああ！！思い出すだけでもはらわたが煮えくり返るわ！！」
初めて見るアルヴァンの素の怒り状態。
「あいつの性格はマジで最悪だ。絶対に一緒に任務なんかしない。絶対に！！」
過去に何かあったのだろう。アルヴァンの目が据わっている。
「はわわ・・」
恐れをなしているセンジュを見つけ、ようやく我に返った。
「あ、すまない・・つい。忘れてくれ」
＿絶対に忘れられません・・ほんとにごめんなさい。
口から牙が生えてきそうなくらい般若な顔をしていた。
「ま、とにかく。絶対に反対だ。あんな氷で出来た、いや鉄で出来たヤツ」
「・・・あ」
しっかりと一つ目の質問を考えていたらしい。
アルヴァンはにやり、と意地悪そうに言った。
「というか、何？忘れてるのか？」
「え？え？」
アルヴァンはベッドに上るとセンジュの上にまたがった。
上から見下ろされた。
ニコリ。
「俺の前で他の男の話するとどうなるか・・忘れたの？」
ドキーーーーッ！！！
＿あ、ヤバい。忘れてたーーーーーーーっ！！
セヴィオの話をした時の事を思い出したが後の祭りだった。
片手で両手を拘束され、もう片方の手で顎を持ち上げられた。
「ア、アルヴァンさん・・怖い・・です」
「怖いか？だって怒ってるんだもんな。怖くて当たりまえだ」
「ごご、ごめんなさい！気を付けますからっ！」
アルヴァンはワザとらしくセンジュの顎をなでなでする。
「本当かなー。次はエレヴォスの話をする気だったんじゃないか？」
「しません！絶対にしませんからっ」
＿うわうわっ・・本気で怒ってる顔だよ、マジで怖いよ・・どうしよう。
「それにさっきの質問・・腹立つから思い出したくもないけど、なんでフォルノスなんだ？」
ドキッ
「あ、えと、その・・なんとなく・・」
ぐっ、とアルヴァンはセンジュの胸を鷲掴みした。
丁度心臓の上だ。
「ひゃあ！何！？なんですか！！」
されたこともない行動に焦りまくりだ。
アルヴァンのとてつもなく怒りで低い声に体に電気が走った。
もう笑みは消え去った。
「なんとなくでフォルノスを選ぶのか？お前は・・」
「ちち、違います！ごめんなさい！昨日フォルノスに言われてっ」
もう涙目だ。
「・・・へえ」
アルヴァンの目が大きく見開いた。
「俺、前に言ったよな？ロボットになるな。お前が幸せになれる相手を選べと。愛を知れと」
「は、はい・・」
「お前には人を愛する権利がある。だが、フォルノスは正直選んで欲しくない。あいつはお前を道具としか見ない」
「昨日、話をしたときフォルノスは思いつめている感じがしたんです。自分を殺してるような・・」
「本当はちゃんとした感情があると？」
「あの人は魔界の為に自分を殺してるって思えて」
「で？お前も同じ様になりたいと思ったのか？あいつに共感したのか？」
ドキン
全てお見通しな発言だった。
「感情を殺し、愛を殺して生きるのか？お前の幸せそうな顔を俺はもう見れないのか？」
ゴクリ。
とアルヴァンの息を呑む音が聞こえた。
センジュの返す言葉に緊張をしている様だった。
「わ、わかんなく・・なっちゃって・・その・・悩んでました。ごめんなさい」
素直に謝った。アルヴァンの瞳が動揺しているのをセンジュは見逃さなかった。
「頼むからやめろ・・正直・・がっかりした」
ズキン
かすれ声が耳元で聞こえた。
落胆した声だ。
「お前は、お前らしくいて欲しいよ・・俺は」
「・・アルヴァンさん」
「魔界の為に尽くす、それは良い事だ。だが、決してお前を殺すな」
ズキン
一番胸が痛い言葉だった。
その言葉に涙が溢れた。
縛られた茨が解かれていく気がする。
「だって、フォルノスは・・私が・・他の人を選んだら・・魔界が壊れるって」
「馬鹿！大馬鹿！なんで素直に受け取るんだ馬鹿！」
３回も馬鹿と言われた。
センジュは心を開放するように泣きじゃくった。
真剣に叱ってくれたことが嬉しかった。
「だって・・本当にそうなったら・・嫌だから・・っ」
「あー・・クソ。あいつ殺してぇな」
「だ、駄目っ」
「わかってるよ！この馬鹿が」
アルヴァンはそのままセンジュの唇を奪った。
「ふ・・アル・・っ」
怒りに任せて何度もついばむ。
「俺を見ろ」
顔を両手で押さえられ、ジッと見つめられた。
「前にも言った。俺はお前の事を本気で考えている。お前の笑った顔が好きだからだ」
「・・・う・・」
「忘れろ。フォルノスの事を今から一度も考えるな。俺を想え」
「アルヴァン・・さん」
強めに唇に噛みつかれる。
「お前の心に俺を入れろ」
「ん・・やっ・・」
耳を噛まれ、そのまま首筋にも噛みつかれた。
「俺を感じろ・・他には何も考えさせない」
「あ・・や・・嫌・・」
「嫌か？俺よりあいつがいいか？」
「ちが・・アルヴァン・・さっ・・んあっ」
アルヴァンの唇が、手が、指がセンジュの体を優しく撫でた。
大きな手が髪をかきあげる。くすぐったくも、気持ちいい感覚だった。
大切にされている様な触れ方に思えた。
「はぁ・・はぁ・・熱い・・です」
息の切れ方が熱のせいでおかしいと気づいたアルヴァンは、我に返り手をとめた。
「・・ん。ごめんな。俺も熱くなった。お前の事になると何故かこうなる」
そう言ってもう一度アルヴァンはセンジュを抱きしめた。
「今度は熱が無い時に思いっきり抱くな」
「・・だ、だめ！・・れす」
ぎゅーんと熱が上がってバテた。
「フフ・・お前はそのままでいい。ずっと」
アルヴァンは頬にキスをすると、近くにあったタオルを絞って額に乗せた。
それから立ち上がり、廊下に出る。
「聞いていたのか？悪趣味だな」
「偶然通りかかりまして」
エレヴォスが静かに笑っていた。
「アルヴァンがそういう策に出たので、私はどうしようかと考えていたんです」
「やっぱり悪趣味だな」
「フフ、センジュは本当にいい子ですね。可愛い」
「・・・」
その言葉にアルヴァンは黙って睨んだ。
「睨んでも駄目ですよ。私にも権利はありますからね」
「どうでるか知らんが・・あいつを傷つける事だけは許さないからな」
「わかってますよ。私はフォルノスとは違います。そこは安心してください」
と頷きながら長い廊下を歩いて行った。
