魔界の華は夜に咲く
コンコンコン

丁寧なノックが聞こえ、ドキッとしながらもセンジュは返事をした。



「はい」


「失礼を致します。お召替えのご用意が整いました」


「あ・・はい」


礼儀正しく魔界の女性が入ってきた。

耳が人間よりも長い。まるでおとぎ話に出てくるエルフだ。

そういえば四大魔将の4人も少し耳の先が尖っていた気がする。

魔族の証なのだろうか。

女性の方がやや耳先が長い様だ。

自分とは違う事で違和感しか覚えない。


_私の耳尖ってないけど・・本当にパパの子なのかなぁ・・。



「センジュ様の侍女に任命されました。リアと申します」


「あ・・センジュです。は、初めまして・・」


「何かございましたら、わたくしに何でもお申し付けくださいませ」


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


深々とお辞儀をされ、つられてセンジュはお辞儀を返した。


「この後は魔王様と四大魔将様など魔界で選ばれし方たちとの晩餐会がございます」


「は、はい・・聞いてます」


「センジュ様は初めての会と思われますが、ごゆるりとお寛ぎくださいませ」


「が、頑張ります」


_何を頑張ったらいいのかわからないけど・・とりあえず大人しくしてよう。そうしよう。



リアは柔らかにニコリと口角をあげ、センジュを浴槽に促した。



「ではこちらのドレスにお着がえの前に湯あみをどうぞ。こちらです」


「は、はい」


緊張しつつ素直に従う事にした。

人間じゃないというだけで、何が起こるか予測が出来ないという恐怖に支配された。

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