魔界の華は夜に咲く
センジュの横に座ったセヴィオは、しかめっ面で外を見つめた。
物々しい雰囲気のセヴィオに、センジュは気づかないふりをしていた。
気になっていたのはフォルノスの事だ。
_クソ・・ずっと気になって離れねえ。いっそ聞くか。
「なあ」
「は、はい!?」
「フォルノスの事なんだけど」
ドキン
フォルノスという名前でセンジュの体は跳ねた。
「何?」
「あいつ・・あんたに本気なの?」
「え?ええ?わかんない・・何考えてるか・・」
「・・・」
明らかに動揺している。
その態度こそ、嫌な予感しかしない。
「じゃあ、どんな風にあんたに触れるの?」
「えっ!?」
完全に嫉妬だった。
恐らく、他の2人もだろうがセンジュを手に入れる為に手段を取っているハズだと思った。
自分もそうしているのだ。近くに居て何もしないわけがない。
他の2人よりも気にかかるのはフォルノスだった。
「あの人は、他人に興味がないハズだったからスルーしてたけど・・さっきのあの目は本気だったよ」
「え・・と」
センジュはセヴィオの圧に耐えられず、馬車の端に追いやられた。
ジッと見つめられている。見透かそうとしている様な目だ。
「ちょ、セヴィオ・・怖い」
「あいつにだけは・・渡したくない」
センジュの手を拘束し、センジュの胸に顔を埋めた。
「クソ・・」
「セヴィオ・・」
「悪い・・なんか・・嫉妬だこれ」
「え・・」
「フォルノスのあの飄々とした顔がムカつく・・なんでも優位に立ってるって顔が・・俺を見下して」
セヴィオが泣き言を言っているのは初めて聞く。感情むき出しだ。
悔しそうにしている。
センジュはすぐに浮かんだ思いをそのまま告げた。
「セヴィオだって良い所いっぱいあるし、比べる必要ないよ」
「どこ」
「え?」
「良い所、言って」
急に上目使いで訴えてきた。目が潤んでいる。
慌ててセンジュは思っている事を伝える。
「ええと、いつも優しいし・・気を使ってくれるし・・一緒にいると楽しいし」
「他は?」
「一生懸命なところ」
と言ったセンジュも一生懸命である。なんとかいつものセヴィオに戻って欲しいと思った。
まっすぐに伝えてくれたセンジュの目を見て、思わずセヴィオは笑顔になった。
気がついた事があった。
「・・そうかも・・俺、初めて一生懸命だ」
「え?そうなの・・?」
「こんなに必死になったの・・初めてだ。だって、天才だからな俺」
「え、ハハ・・何それ!」
センジュは冗談に捉えたが至って真面目にセヴィオは思った。
幼い頃からなんでも出来ると突き進んだ。最年少で四大魔将になった者はいままでいない。
そしてなんでも手に入ると思って生きてきた。
しかしセンジュはそうも行かない。
だから悔しさがこみ上げてきたのだと確信する。
手に入りそうで入らないもどかしさにやきもきする。
セヴィオはセンジュの手を持ちあげると、指先にキスをした。
笑顔から真剣な表情へと移り変わった。
「セヴィオ・・?」
ギッ・・
レザーで出来た馬車の椅子がセヴィオの重みで鳴った。
センジュに寄り、唇を耳元へと運んだ。
静かに囁く。
「あんたを抱きたい」
物々しい雰囲気のセヴィオに、センジュは気づかないふりをしていた。
気になっていたのはフォルノスの事だ。
_クソ・・ずっと気になって離れねえ。いっそ聞くか。
「なあ」
「は、はい!?」
「フォルノスの事なんだけど」
ドキン
フォルノスという名前でセンジュの体は跳ねた。
「何?」
「あいつ・・あんたに本気なの?」
「え?ええ?わかんない・・何考えてるか・・」
「・・・」
明らかに動揺している。
その態度こそ、嫌な予感しかしない。
「じゃあ、どんな風にあんたに触れるの?」
「えっ!?」
完全に嫉妬だった。
恐らく、他の2人もだろうがセンジュを手に入れる為に手段を取っているハズだと思った。
自分もそうしているのだ。近くに居て何もしないわけがない。
他の2人よりも気にかかるのはフォルノスだった。
「あの人は、他人に興味がないハズだったからスルーしてたけど・・さっきのあの目は本気だったよ」
「え・・と」
センジュはセヴィオの圧に耐えられず、馬車の端に追いやられた。
ジッと見つめられている。見透かそうとしている様な目だ。
「ちょ、セヴィオ・・怖い」
「あいつにだけは・・渡したくない」
センジュの手を拘束し、センジュの胸に顔を埋めた。
「クソ・・」
「セヴィオ・・」
「悪い・・なんか・・嫉妬だこれ」
「え・・」
「フォルノスのあの飄々とした顔がムカつく・・なんでも優位に立ってるって顔が・・俺を見下して」
セヴィオが泣き言を言っているのは初めて聞く。感情むき出しだ。
悔しそうにしている。
センジュはすぐに浮かんだ思いをそのまま告げた。
「セヴィオだって良い所いっぱいあるし、比べる必要ないよ」
「どこ」
「え?」
「良い所、言って」
急に上目使いで訴えてきた。目が潤んでいる。
慌ててセンジュは思っている事を伝える。
「ええと、いつも優しいし・・気を使ってくれるし・・一緒にいると楽しいし」
「他は?」
「一生懸命なところ」
と言ったセンジュも一生懸命である。なんとかいつものセヴィオに戻って欲しいと思った。
まっすぐに伝えてくれたセンジュの目を見て、思わずセヴィオは笑顔になった。
気がついた事があった。
「・・そうかも・・俺、初めて一生懸命だ」
「え?そうなの・・?」
「こんなに必死になったの・・初めてだ。だって、天才だからな俺」
「え、ハハ・・何それ!」
センジュは冗談に捉えたが至って真面目にセヴィオは思った。
幼い頃からなんでも出来ると突き進んだ。最年少で四大魔将になった者はいままでいない。
そしてなんでも手に入ると思って生きてきた。
しかしセンジュはそうも行かない。
だから悔しさがこみ上げてきたのだと確信する。
手に入りそうで入らないもどかしさにやきもきする。
セヴィオはセンジュの手を持ちあげると、指先にキスをした。
笑顔から真剣な表情へと移り変わった。
「セヴィオ・・?」
ギッ・・
レザーで出来た馬車の椅子がセヴィオの重みで鳴った。
センジュに寄り、唇を耳元へと運んだ。
静かに囁く。
「あんたを抱きたい」