魔界の華は夜に咲く
「前に聞いたと思うが」

「ん?」

「他の3人に、お前が惹かれる相手はいるのか?」


ドキン


「え、えっと・・」


急にそんな質問されるとは思いもよらなかった。

慌てふためくセンジュだ。


「皆とても優しくていい人達ばかりだけど・・」

「けど?」


ドキン


フォルノスの見つめる目がセンジュを貫く。

見透かされそうに思えたセンジュは思わず目を伏せてしまった。

「まだ・・わからない・・決められない」

「そうか・・」


_フォルノスは今・・何考えているんだろう。なんで聞いてきたの?


「これから状況も変わってくるかもしれない」

「やっぱり私が・・天使とのハーフだから?」

「どう転んでも・・心しておけ」

その言葉はまるで自分を拒否されたように聞こえた。

確かに天使とのハーフだった以上、魔族達が自分を受け入れてくれるのかはわからない。全ては父にゆだねられるだろう。

魔界で生きて行けるかどうかを。

黙ったセンジュにフォルノスは言った。


「だが・・・お前に後悔はしてほしくない・・と思った」


ドキン


フォルノスは苦虫を噛み締める様な顔をセンジュから伏せた。


_この女が俺を選ぶことはあり得ない。解っているというのに、何故かいままで感じた事のない感情が俺をかきたてる。これはアイツらに対するただの負けず嫌いだ。状況も変わりつつある。俺には優先すべき事がある。無駄な感情は捨てるべきだ。



「・・なんでもない。無駄話だったな」





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