魔界の華は夜に咲く
部屋に戻り、ドレッサーの前で髪を丁寧に解かしてもらう。


「あの・・自分でやります」


「いえいえ、これがわたくしの仕事ですから」


リアは慣れた手つきでセンジュの髪を解かした。


「綺麗な髪ですね。今日はドレスですので高く結いあげましょうか」


「あ、はい・・」



人に施されるのは美容院に行く時くらいだ。

緊張してリアをジッと見つめた。

するとリアはもの珍しそうに笑った。


「ふふ、どうされました?」


「あ、いえ・・その・・こういうの慣れてなくて」


「人間界の暮らしが長いとお伺いしました。慣れなくて当然ですわ。私も少し不思議です。あなた様は魔王様の姫君ですが、人間との御子と伺っております」

「あ・・」



_な、なるほど・・確かにパパが本当に私のパパなら私にも魔族の血が流れているということになる。魔族と人間とのハーフって事!?



「あの、魔界の人達は人間と何が違うんですか?パパみたいに瞬間移動したりとか・・何か力があるんですか?」


「ええ、多少なりとも我々は力を持っております。1人1人能力は違いますが。センジュ様はご自分の力をまだご覧になった事がないのですか?」


「ないです・・だからいまいちピンと来ないというか・・今だに信じられなくて」


「そうでらしたのですね。ですが、魔王様があなた様の存在を認めていらっしゃるのです。誰がなんと言おうと、あなた様は王女様ですわ。きっとそのうちにお目覚めになりますよ」


「はい・・」


_この人もパパを恐れている。どれだけの力を持っているんだろう。なんで力を持たない私を魔界に呼んだんだろう?パパは教えてくれるのかな?



何のために自分は呼ばれたのか、恐らく目的があるに違いない。

と心の何処かで憶測していた。

< 19 / 100 >

この作品をシェア

pagetop