魔界の華は夜に咲く
その出来事は四大魔将に共有された。

月に一度の四人だけの会議中にだ。

エレヴォスは微笑みながら言った。

いつも通り心境が読めない笑みを浮かべている。


「センジュは私を頼ってくれたのです。責めないでやってくださいね」

「・・・そうか」

「・・んだよそれ」


アルヴァンもセヴィオも初めは怒りをあらわにしていたが、事情を聴き強張る拳の力を抜いた。

しかしフォルノスの拳は打ち震えたままだった。無意識に震えているのを本人は気づいていない。

顔はいつも通りを装っていたが、内心静かな炎が燃えている事も。


「で・・センジュはお前に決めたのか?」

「そのようです。・・と言いたいところですが・・そういう訳ではないのでしょう」

「何?」

「荒れた気持ちを取り払いたかっただけだと思います」

「どうしてそう思う?」

「近くにいてそう思ったのです」


_愛を注いでもその愛は流れて行ってしまう。

心に穴が開いている様な顔をしていたから。


エレヴォスは残念そうに遠くを見つめた。

切ない心を閉じ込める。


「一度体の関係を持ったからと言って、めでたしとは限りません」

「・・・へえ」

「ま、様子をみるさ。つまり俺達にもチャンスがあるって事だな」

「どうでしょう?私が一歩リードしてますし」

「はー?強気だなお前」

「フフフ」


セヴィオは不貞腐れていたが、アルヴァンは強がった様に言った。負けず嫌い全開だ。

アルヴァンがちらりとフォルノスを見ると、フォルノスは窓の外を見ていた。


「どうした?」

「・・いや」

「センジュの事、少しは考えたか?」

「興味ない」

「ふうん・・」


_本当にそうかねぇ・・。思いつめた顔を表に出す様になったんだな。鉄仮面様も。良い傾向じゃねえか。



「センジュの話は終わりだ。ウリエルの事で話がある」


フォルノスがそう言うと、3人の顔は仕事モードに切り替わった。



< 213 / 289 >

この作品をシェア

pagetop