魔界の華は夜に咲く

部屋に向かって歩いていると、反対方向から会議を終えた四大魔将の４人が歩いてきた。


「あ・・・」


ドキン


＿き、気まずい・・４人一緒なんて。



「センジュ」

「・・・」

「・・・」

「あの方の所へ行っていたのか？」

大人なアルヴァンがセンジュの頭をぽんと撫でた。

エレヴォスはいつも通りだったが、明らかにセヴィオはそっぽを向いている。不機嫌全開だ。

フォルノスは蔑むように見つめている。閉じているのではないかと思う程に目を細めている。


「あ、はい・・天使が・・」

「ああ昨日フォルノスが捕らえたヤツね」

「はい・・」


暗い表情のセンジュにアルヴァンの大きな手がわしゃわしゃとわざとらしく頭を撫でた。


「あんまり気にするなよ。ベリオルロス様の力は魔界には無くてはならないものだ。解るだろう？」

「・・そう、ですね」


センジュの様子を見ていたフォルノスは何も語らずに前に歩き出した。


「フォルノス、どちらへ行くのですか」

「あの方の所だ」

それだけ言い、スタスタと消えていった。

フォルノスの声にズキズキと心が痛んでいるのを、センジュは悟られない様に必死に隠した。

「私・・部屋に戻ります」

「ええ、疲れたでしょうからゆっくり休んで。今日の護衛はセヴィオでしたね」


とエレヴォスが言ったが、セヴィオはセンジュに顔を合わせようともしない。

「パス。アルヴァンに代わってもらうわ。まだ体も痛いしな」

「は？」


そう言ってセヴィオもスタスタと歩いて行ってしまった。


＿セヴィオ・・。


エレヴォスとの事は共有されている。

それをセンジュは悟った。


＿そうだよね・・私の事許せないよね。


「じゃ、お言葉に甘えて護衛するか」


アルヴァンが気さくにセンジュの肩を抱くとエレヴォスの眼が細くなった。


「アルヴァン、私のセンジュに変な真似はしないでくださいね」


ドキン


その言葉に顔を真っ赤に染めたセンジュだ。

公にそんな事を言われるとは思いもよらない。


「いつからお前のセンジュになったんだよ」


＿ぎゃああっ///止めて止めて！マジでお願いします！ナイーブな所を突かないでよおお///


内心気が気じゃない。

そして冷や汗だらだらだ。


「センジュの伴侶はまだ決まってないんだろ？」


アルヴァンはセンジュをおもむろに抱きしめた。


「一度寝たくらいで偉そうにするな。思春期のガキじゃあるまいし。マウント取ったつもりか」

「アルヴァン見て下さい。センジュが困ってますよ」


センジュの顔はもはや崩壊寸前。両手で顔を覆った。

反論も出来ない。


「まだ決着はついてないんだろ？後で吠えるなよ。クハハ」

「全く・・」


呆れたエレヴォスにひらひらと手を振ってアルヴァンはセンジュを連れて部屋へと向かった。