魔界の華は夜に咲く
センジュの部屋に入り、アルヴァンはイラつきながらも冷静に尋ねた。

「どういう事だ?あいつ・・マジでおかしかったぞ」

「私も・・そう思います。最後のは」


_おやすみのチューとか、パパじゃあるまいし。


「でも・・フォルノスは私を受け入れてくれたわけじゃないんです」

「どういう事だよ」


センジュはアルヴァンに頭を下げた。


「あの、ごめんなさい!・・私、フォルノスの事が好きで」

「・・・」

「だから・・成り行きだったけど、想いを伝えたんです・・すみません」

「へえ・・」


アルヴァンは冷静だった。
センジュの想いをすでに知っている様だった。


「あいつの何処が良いのかまったく理解出来ねえけど・・」

「はい・・でも・・好き、みたいです」


_怖い。絶対怒らせるよね。ていうかもうキレてるよね。


しかしアルヴァンはいつもの様に強引にはしなかった。


「まぁ・・思ってた事を伝えられたんならスッキリしただろ。お前がそれで幸せならいいんじゃないか」

「えっ!?」


予想外の言葉が出てきて、思わず顔を上げると気まずそうな顔を背けるアルヴァンの姿が見えた。


「でも、その受け入れられなかったってのが引っかかるが」

「あ・・はい。その・・伴侶としては止めておけと」

「言われたのか」

「はい・・それだけは駄目って」


_どういうつもりだ?フォルノスの懐が読めない・・。


「ふうん・・でもいつか、お前は決めなきゃならないし、フォルノスが拒否する以上は他を選ぶしかないんじゃないか。あの方の命令だ」

「そう・・なりますね」


切なそうに俯くセンジュを見てアルヴァンは理解した様に頷いた。



_てゆうか、そもそも拒否とかアリなのか?センジュがフォルノスがいいって言うならフォルノスで決まりなんじゃないのか???なんか色々と腑に落ちない。つか普通にムカつく。


と内心思った。


「わかった。だけど、お前が苦しむようなら俺はお前を放ってはおかない。俺にとってはチャンスでもある」

「アルヴァンさん・・」

「俺もまだ諦めなくて良いって事だろ。悪いが俺もしつこいからな」

「・・その気持ちはわかります」

「ん?」

「まだフォルノスを諦めきれていない自分と同じ心境ですから」

「ああ、そうか。そうなるな」

「はい。でも、私の望みは叶わない。・・そう思いました」


_いつか・・けじめをつけなくちゃいけないのかな。


体は求めてくれたけど、やっぱり心は許してくれなかったから。

しおらしく落ち込んだセンジュだ。

アルヴァンは自分の頭を掻きながら言った。

「一度振られたからなんだ。俺なんか毎回おあずけ食らってるんだ」

「あ・・あはは・・」

「そこ笑うとこじゃないぞ」

小さな頭にキスをしてアルヴァンは言った。

「俺が上書きするからな。覚悟しとけ」

「アルヴァンさん・・」

「じゃあな」

そう言ってアルヴァンは手を振って帰っていった。

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