魔界の華は夜に咲く
魔王に行ってきますと挨拶をし、センジュはエレヴォスと共に馬車へ乗った。

「ありがとうエレヴォスさん」

「うん。どういたしまして」


くすりと穏やかに笑うエレヴォスは何処となく寂しそうな目をしていた。


「どうしたんですか?」

「すっかり敬語に戻ってるからね。残念がってる。2人でいる時は敬語は無しだよ」

「あ・・・ごめんなさい」


_どうしても慣れないんだよね・・さん付けの方が合ってるというか・・。


ちらり。とエレヴォスの様子を見ると、外をジッと見つめている。


_怒っちゃったかな。でもそういえばエレヴォスさんの怒った顔見た事ないかも。



「エレヴォスさん・・怒ってます?」

「全然」



_えーと、結構怒ってる声のトーンなんですけど。どうしよう。



臆病になり俯くと、センジュの手をキュッと握った。


「別に怒ってはないんだけど・・」

「けど・・?」


_純粋に嫉妬してますね。フォルノスにずっと。


センジュが首を傾げると、エレヴォスはおでこをピンとはじいた。


「ひゃっ・・びっくりした」

「もうずっと私は驚いてるんだよ」

「え・・」

「アルヴァンに聞いたからね。一部始終を」


ドキン


一部始終というのはフォルノスの話だ。

センジュが想っているのは今はフォルノスだという事をアルヴァンに聞いているのだ。

内心は嫉妬の炎が燃え盛っていた。



_私だけのセンジュでいて欲しかったのに。



「そうだ、センジュ。学校につくまでイチャイチャしよう」

「は、はい!?」


_な、なんか目がメラメラしてるんですけど!?


「駄目、とは言わせないよ」

「ちょ・・エレヴォスさんっ」

「エレヴォスと呼ばないと駄目。じゃないとやめてあげない」

「そ・・そんなっ・・待って」

「待たない」
< 233 / 289 >

この作品をシェア

pagetop