魔界の華は夜に咲く
コトン。

唖然としているセンジュの前に突然ケーキが置かれた。
可愛い小さなガトーショコラだ。ラズベリーが乗っている。


「どうぞ。召し上がってください」


「あ、ありがとうございます」


隣に座ったのはエレヴォスだった。

柔らかな笑顔でセンジュの顔をまじまじと見つめている。


「折角ですから、我が君のご要望通り仲良くいたしましょう」


「あ・・はい」


見透かすかの様にジッと瞳を見つめられ、センジュの笑顔はひきつる。

そしてエレヴォスの頬が若干赤い。ほろ酔い気分な様だ。


_確かエレヴォスさん。う、距離が近い・・どうしたらいいのかわからないよぉ。


「センジュはずっと人間界で暮らしてきたのでしょう」


「はい」


「年頃にも見えますし、好きな方はいなかったのですか」


「え・・」


_唐突、というか・・よくある「彼氏いる?」の質問だよねコレ。



「いえ、うちはそれどころじゃなくて・・母が仕事をしてくれていたので私も家の事ばかりしていて・・そんな余裕なかったです」


「へえ・・そうなんですね。センジュは可愛いから学校でもモテたでしょうに」


「え¨・・いえ、全然」


_凄い、優雅な雰囲気なのにチャラいこの人。初対面で可愛いとか言えるなんて。


「好きな男がいないという事は恋もしたことない?」


「あえ・・っと。・・幼い頃にはありますけど・・って何言わせるんですか」


ぐいぐい質問してくるので、一旦引いたセンジュだ。


「だって、好きな男がいたら消さないと・・」


「け・・・!?」



_何さりげなく恐ろしい事言ってるのこの人!?やっぱ普通じゃなかった。



無駄にドキドキさせられた。

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