魔界の華は夜に咲く
「くはは、エレヴォス。センジュが引いているじゃないか」


反対の席に座っていたアルヴァンが大きな口で笑っている。


「え?そんな事ないですよね?」


「え・・えっとぉ・・」



_まあ、若干引いています。なんて言えないけど・・。



「こういう場は、色恋話よりも好きな物とか得意な事とかを聞いた方が話に花が咲くだろうが」


「そうですか?私はストレートなんですよ何事も」


センジュは2人のやり取りを見ていて素直に思う。


_この2人は仲が良いのかな?



「邪魔するとあなたから消しますよ、アルヴァン」


「あん?やってみるか?」


メラメラメラ

と2人の瞳が燃えだした。



_前言撤回だ。仲良くない感じがする。とてつもなく。



それを見ていた少年のセヴィオは冷めた様に鼻で息を吐いた。



「くだらねえ喧嘩してるとあの方が怒るぞ」


つかつかとセンジュの前に立つと、顔をくいと指で上げた。


「ふーん、着飾ればまあまあ女に見えるな。仕方ねえから少しは仲良くしてやる」


ゾクッ

セヴィオの目つきは冷めている様で尚且つ苛立っている様な雰囲気だった。


「体だけは使ってやってもいいぜ」

「・・は!?」


その言葉にセンジュの全身が一気に沸騰しそうになった。


_絶対に願い下げなんですけど!?なにこの人!!超絶失礼!!1番嫌!!


「あふぁー。今日はもう眠いから帰る。じゃあな」


そう言って広間からセヴィオはいち早く出ていった。



_あの態度、許せない!!なんなの!?


怒りで眉をしかませていると


「センジュ」


「え?は、はい」


後ろから低く響く声が聞こえた。

フォルノスだ。


「明日、お前の能力を調べる。使いを向かわせるから俺の所へ来い」


「え・・能力?」


「いいから来い。従えばいい」


_うぅ、この人やっぱり一番怖い。


「はい」



何故か勝手に口は返事をしてしまう。

それほどフォルノスの声には力があった。

ぽつん。

センジュは一人でケーキを見つめた。


_えーと。


フォルノスもセンジュには全く興味がない様に見えた。
会話もそれっきり、ずっと独りでワインを飲みながら外を眺めているだけだった。

アルヴァンとエレヴォスはまだ口論している。

まさかの王女ほったらかしである。


_なんか、皆凄い自由気ままな感じ。このまま無視すれば結婚の件もスルー出来るかもしれない。
よし、それで行こう。


と心の中で拳を握りしめたセンジュだった。
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