魔界の華は夜に咲く
「その辺にしろミカエル。指が飛ぶぞ」

ドキン


背後から怒りを帯びた低い声が聞こえ、ミカエルは手を止めた。


「おっと、覗き見?ウリエル」

「その子を離せ」


剣をミカエルの首に突きつけながらウリエルは言ったがミカエルはセンジュを抱きしめて反論した。


「この子とどういう関係かな?」


_ウリエル!!会えた!!


「妹の・・アンジュの娘だ」

「え?アンジュの?」

ミカエルはセンジュの顔をもう一度じっくり吟味した。

「あー・・確かに、似てる。というか、アハハ。けっこうそっくりだね」


_この人、もしかしてワザと解って・・!?



「可愛いと思ったから声をかけたんだけど、そういう事か」


とセンジュを解放した。

思わずセンジュはミカエルに向かって睨んだ。

「うわ、怒ってる。ごめんね、つい可愛くて口説き落としたくなっちゃった」

「最低・・」

「ごめんて」


顔を背けた瞬間、ウリエルはセンジュを肩に担いだ。

「ひゃっ・・ちょっ!」

「何故ここにいるのか知らんが・・どうせ魔王の差し金だろう。行くぞ」


_さっそくバレてる!!


「ど、何処に!?」

「屋敷だ、ちゃんと話をしよう」

「・・・」


黙って頷くとウリエルは翼を広げて空へと羽ばたいた。

「あーあ。折角楽しかったのに・・。クク、あれが噂の魔王の娘か。これから楽しみだな」


ウリエルを見送りながらミカエルは楽し気にリンゴをかじった。

< 259 / 289 >

この作品をシェア

pagetop