魔界の華は夜に咲く
バタバタと支度を終え、使いの者に連れられセンジュは城の外へと出た。
初めての魔界。
朝だというのに空が紅い。
太陽が遠くに見えるがぼやけている。夕日に近い感覚だ。
「これが・・魔界」
「昨晩はぐっすりと眠れた様だな。遅刻する程に」
どっきーーーーん!!!
背後から聞こえてきたフォルノスの声に体が強張った。低くとても冷たい声だ。
「ご、ごめんなさい・・まだ・・現実味がなくて寝ぼけてしまって」
「そんな事だろうと予想はしていた。実に解りやすい」
相変わらずの無表情だが言葉は普通の会話だ。
ほっと安心した矢先だった。
「罰として、お前を時間通りに連れてくる事が出来なかったこいつの首を跳ねる」
「はい!?」
すらりと抜かれた剣の切っ先がキラリと太陽の光で煌めいた。
ゾゾゾッ
自分の使いを簡単に殺そうとしている。
センジュは一気に全身に鳥肌が立ったのを感じた。
ふと顔を合わせた使いの者は真っ青な顔をしている。
「ままま、待って下さい!この人は何も悪くないですから!!私が寝坊しただけですから!!」
「いいや、気が済まん」
「は!?あなたの気分で首を跳ねるんですか!?」
「そうだ」
その冷酷さに流石にセンジュは怒りを覚えた。
「ふざけないでください!」
「至って真面目だが」
センジュはフォルノスの前に立ちふさがった。
使者を守る様に。
「この人はしっかりと役目を果たした!私をここに連れてきたじゃない!」
ギロリ。
恐らくフォルノスに立てついたものは魔界には存在しないのだろう。
周りのフォルノスの従者たちは恐怖におののき後ずさった。
_怖いけどヤバいけど・・
「こ、この人を殺すと言うなら・・この事をパパに言うから!!」
「なんだと?」
一日目にして最終手段を早速簡単に使ってしまったが、むしろここしか使い道はないと思った。
「フォルノスが酷すぎるって言う!」
「く・・ははは・・はははっ」
その言葉にフォルノスは頭を抱えて笑った。
ほとんど人前で笑った事のないフォルノスが大口を開けて笑ったのを見て部下達は驚いていた。
恐怖で更に凍りついた。次の瞬間センジュに対して狂乱な目をしていた。
「言えばいい。あの方は俺の事は全部ご存じだろうからな」
「え!?そ、そうなの?」
「知っていて尚、大事な娘の婿候補にしたのだからな」
「うっ・・そっか」
_そっか。そりゃそうだよね。私なんかよりも長く一緒にいるんだもんね。
でも、どうしよう・・それじゃこの人が殺されちゃう・・。
使者は怯えるのを通り越して放心状態だった。口をぽかりと開けて固まっている。
観念したように見て取れた。
しかしセンジュはなんとしてもこんな強行は食い止めたかった。
初めての魔界。
朝だというのに空が紅い。
太陽が遠くに見えるがぼやけている。夕日に近い感覚だ。
「これが・・魔界」
「昨晩はぐっすりと眠れた様だな。遅刻する程に」
どっきーーーーん!!!
背後から聞こえてきたフォルノスの声に体が強張った。低くとても冷たい声だ。
「ご、ごめんなさい・・まだ・・現実味がなくて寝ぼけてしまって」
「そんな事だろうと予想はしていた。実に解りやすい」
相変わらずの無表情だが言葉は普通の会話だ。
ほっと安心した矢先だった。
「罰として、お前を時間通りに連れてくる事が出来なかったこいつの首を跳ねる」
「はい!?」
すらりと抜かれた剣の切っ先がキラリと太陽の光で煌めいた。
ゾゾゾッ
自分の使いを簡単に殺そうとしている。
センジュは一気に全身に鳥肌が立ったのを感じた。
ふと顔を合わせた使いの者は真っ青な顔をしている。
「ままま、待って下さい!この人は何も悪くないですから!!私が寝坊しただけですから!!」
「いいや、気が済まん」
「は!?あなたの気分で首を跳ねるんですか!?」
「そうだ」
その冷酷さに流石にセンジュは怒りを覚えた。
「ふざけないでください!」
「至って真面目だが」
センジュはフォルノスの前に立ちふさがった。
使者を守る様に。
「この人はしっかりと役目を果たした!私をここに連れてきたじゃない!」
ギロリ。
恐らくフォルノスに立てついたものは魔界には存在しないのだろう。
周りのフォルノスの従者たちは恐怖におののき後ずさった。
_怖いけどヤバいけど・・
「こ、この人を殺すと言うなら・・この事をパパに言うから!!」
「なんだと?」
一日目にして最終手段を早速簡単に使ってしまったが、むしろここしか使い道はないと思った。
「フォルノスが酷すぎるって言う!」
「く・・ははは・・はははっ」
その言葉にフォルノスは頭を抱えて笑った。
ほとんど人前で笑った事のないフォルノスが大口を開けて笑ったのを見て部下達は驚いていた。
恐怖で更に凍りついた。次の瞬間センジュに対して狂乱な目をしていた。
「言えばいい。あの方は俺の事は全部ご存じだろうからな」
「え!?そ、そうなの?」
「知っていて尚、大事な娘の婿候補にしたのだからな」
「うっ・・そっか」
_そっか。そりゃそうだよね。私なんかよりも長く一緒にいるんだもんね。
でも、どうしよう・・それじゃこの人が殺されちゃう・・。
使者は怯えるのを通り越して放心状態だった。口をぽかりと開けて固まっている。
観念したように見て取れた。
しかしセンジュはなんとしてもこんな強行は食い止めたかった。