魔界の華は夜に咲く
近くに生えていた木の上から聞き覚えのある声が聞こえた。

「いい加減さっさとやってみせろよ」


それはセヴィオの笑いを含んだ声だった。


「魔王の娘なんていない方が良いって思ってるんだろ?フォルノスさんよ」


「盗み聞きか。ネズミの様なヤツだな。自分の仕事はどうした」


「今日はもう終わってる、よっと」


木の上からセンジュの目の前に飛び降りた。


「今日はこいつの能力を確かめろってあの方からのご依頼だろ?殺してみろよ。俺があの方に報告してやるから。ククク・・そしたらあんたはどうなるかなー」


セヴィオはいたずらそうな笑みを浮かべてフォルノスに言った。

センジュは状況を掴む事に必死だ。


_ええと・・助けられてるの?それとも挑発してるの??なんなのこの人!?



フォルノスは剣を鞘に納めると不機嫌そうに背を向けた。


「興がそがれた。始めるぞ」


その言葉にフォルノスの従者たちはようやく安堵する。


「ククク、ほらこっちに来な」

「え?え?」


セヴィオに促され城の訓練場にセンジュは連れていかれた。

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