魔界の華は夜に咲く
よく喋るセヴィオに対して、センジュの口はぽかんと空きっぱなしだ。


「そうだ、俺があんたの護衛役になってやる。解らない事も全部教えてやるよ」


「えと・・他に仕事があるんじゃないの?」


「ああ、四大魔将は魔界の領土をそれぞれ任されてるし、魔界にもまともじゃねえ奴らがいて、それを制する務めがある」


「じゃあ私にかまってる余裕なんてないでしょ?」


「ねえけど、作ってやるって言ってんの」


「い、いいよ・・別に・・ずっと部屋に引きこもってるよ」


「あんた王女だぞ?魔王様だって遠征でいつもいねえし、誰かがあんたを護らねえと」


「え゛・・ここにも危険があるって事なの!?部屋でも!?」


ぞくぞくと恐怖で背筋が凍ってくる。
聞けば聞くほど魔界には居たくないと思ってしまうセンジュだ。


「危険はありますよ」


突然ドアの方からエレヴォスの声が聞こえてきた。
ニコニコと白い歯が見えるが目はどことなく笑ってはいない。


「抜け駆けですか、セヴィオ」

「先駆けだよ」

「屁理屈ですね」


エレヴォスはセンジュの前に膝をついた。

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