魔界の華は夜に咲く

「センジュ、目をあけてごらん」

「ん？・・ひっ！？」


ドキン


センジュが目を開けた先に広がったのは小さな町の上だった。

空から見下ろしている。信じられない光景だ。


「パパ・・飛んでるの？」

「そうだよ。パパはなんでも出来るからねえ」

「す、すごいね・・」

「だろう？フフン」


魔王は自慢げに鼻を伸ばす雰囲気で顔を掲げている。


「あ・・！！」


センジュの目に飛び込んできたのは、人々が武器を手に取り互いを傷つけ合っている様子だった。
金色の小麦畑が風にそよぐ中、のどかな田舎町であるこの場所に荒くれた魔族達が押し寄せ、快楽にまかせて町の住人達を襲っている様子だった。
それに対抗しているのは町に住む者達や警備していた魔族だ。
女子供も容赦なく襲っている。抵抗する悲鳴や鳴き声が響き渡っている。

「敵は30人ほど・・と言ったところかな。う～ん、野蛮な族って感じだね」

「酷い・・」


思わず目を伏せたくなる光景だったが、魔王はそれを見てワザと促した。


「ほらセヴィオが見える、前線で指揮しているよ」

「あ・・」



＿セヴィオ！！！



手甲をつけ、敵に殴りかかっている。
近くで交戦していた配下を守るように。


「おい何やってんだ！！もうヘタったのかよ！！」

「セヴィオ様！こいつら、異常に速くて・・何か使っているかもしれません！」

「あーだろうなー。魔王が禁じている薬かもしれねえ！一匹捕らえる！あとはヤっていい！！」

「はい！」

「ったく・・面倒くせ！」


セヴィオの指揮の元、戦闘は続いた。