魔界の華は夜に咲く
「さ、どうする?センジュ、もう帰るかい?」

「え?」


_もう!?助けに来たんじゃないの!?私はてっきり・・。



魔王の眼は仕事モードだ。ギラギラとしている。容赦もない。


「センジュは言ってたよね、魔界のことを知りたいって。パパはそれを知ってもらうためにココに連れて来たんだ。助けに来たわけじゃないんだよ」

「で、でもあんなに・・」

「セヴィオは四大魔将だ。ここで終わるようだったら、その資格はないからね」

「・・・」

「彼はね、優秀だからこそ選ばれたんだよ。それを後ろから手助けは出来ないだろう?そんなのセヴィオが喜ばないだろうし。魔王である私に助けられて、今後城に居られるかな?お前の婿になれるかな?」

「それは・・あ!!」



センジュが見つめる先で、セヴィオの前から次々と配下が倒れていく。
精鋭を連れてきたつもりだがそれでも相手の方が速く、強固だ。


_明らかに様子がおかしい。間違いなく敵は強化されている。あぁ、簡単に終わらせてくれねえな。


「セヴィオ様!!ぅぐあぁっ」

「お前ら!」

「セヴィオ・・様っ」

「すみま・・せ・・」



_最悪だ・・こんなのあの方に報告出来ねえ!!ここで死んだ方がマシだ!!



セヴィオは魔王が空から眺めているなど知る由もない。


「生きてる奴は全員下がれ!!」

「セヴィオ様!!何を!?」

「俺が全部やる!!」



_敵はまだ20、いや25はいる。俺もろとも吹き飛ばす。町も部下も守れねえなんて何が四大魔将だよ。なんてザマだ。


「ちっくしょ・・」


ふいにセヴィオの脳裏にセンジュの顔が浮かび上がった。


「折角・・これから面白そうだったのに・・」


にやりと笑うと、セヴィオは全身に力を込めた。
足のつま先から、指先、髪の毛の先まで全身に熱を纏った。


「こんなんで生き残ったって恥ずかしくて自分から死ぬっての」
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